top of page
骨格筋培養細胞モデル

 運動や栄養の効果を細胞レベルで詳しく調べるためには、培養細胞を利用することは非常に強力なツールとなります。代表的な細胞としてマウス筋芽由来のC2C12細胞がよく用いられます。C2C12細胞は増殖時は他の多くの細胞と同じく単核細胞ですが、細胞分化を誘導する培養液中では細胞同士の融合が起こり、多核の筋管細胞となります。また、アクチンやミオシン等の収縮タンパク質が発現し、筋収縮単位であるサルコメア構造が形成されます。

 本研究室では、骨格筋培養細胞に身体運動時の筋収縮を模したメカニカルストレスを加えることによって、運動時に起こる細胞内変化を明らかにしようとしています。

モデル1 ストレッチ運動(伸展刺激)

 伸縮性をもつシリコン膜上で骨格筋細胞を培養し、ストレッチを負荷します。このシステムでは伸展度や頻度、時間を変えることが可能です。ストレッチ運動前や運動後の栄養素の効果を調べることも行っています。伸展刺激はタンパク質合成促進作用の指標となるp70S6K分子のリン酸化を上昇させ、さらに刺激後のアミノ酸の効果を高めました。

モデル2 筋収縮運動(電気刺激)

 十分に分化誘導を行い、サルコメア構造が形成された筋管細胞に電気刺激を加えると収縮が起こります。現在、電気刺激の強度や頻度、時間を変えることによって、有酸素運動およびレジスタンス運動を模した収縮を負荷する方法の確立を目指しています。

​マウス筋サテライト細胞への応用

 骨格筋には筋細胞とは別に未分化性の高い幹細胞である筋サテライト細胞が存在しています。筋サテライト細胞は、筋損傷からの回復時や筋肥大時に増殖し、筋細胞へ融合して新しい筋核となることがわかってきました。我々は、筋サテライト細胞を採取し、上記のモデルを応用することによって、運動や栄養素の効果を検討しています。また、生活習慣病のモデルマウスから筋サテライト細胞を採取することによって、生活習慣が筋細胞にどのような影響をもたらすかについても明らかにしていく研究を進めています。

栄養素飢餓と再補充モデル

骨格筋量の維持・増進のためには、タンパク質合成を高める必要があります。しかし、同時にタンパク質分解は不要なタンパク質の処理やアミノ酸のリサイクルに重要です。我々は、一定時間の栄養素(グルコースやアミノ酸)の飢餓後、栄養素を再補充するとタンパク質合成促進作用の指標となるmTOR/p70S6K経路を強く活性化することを見出しました。このメカニズムを明らかにすることにより、適切な絶食が骨格筋の量や機能を高める可能性を提唱しようとしています。

機能性油脂が骨格筋の糖・脂質代謝に及ぼす影響の検討

 近年、特定の作用を有する脂肪、機能性油脂が注目されています。一般的に、食事から摂取する脂肪は肥満を招く元凶として考えられています。しかし、脂肪の中にも内臓脂肪の蓄積を防ぎ、メタボリックシンドロームの予防に役立つものがあります。また、運動の効果を高めたり、競技パフォーマンスを向上させる脂質があることも明らかになってきました。これらの機能性油脂がどのような機序により効果を発揮しているかを培養細胞や実験動物を用いて研究を行っています。

スクリーンショット 2018-10-18 7.32.59.png
スクリーンショット 2018-10-18 7.34.57.png
スクリーンショット 2018-10-18 7.37.52.png
スクリーンショット 2018-10-17 15.24.34.png
名称未設定-1.tif
身体運動が筋肉以外の組織に及ぼす影響の検討

 最新の研究から、習慣的な身体運動は脳機能の改善や大腸がんの予防効果など、筋肉以外にも様々な影響を与えることが知られています。本研究室では、これまでに知られていなかった身体運動の効果、すなわち身体運動が体内の様々な臓器(胃や腸などの消化器官など)にも好ましい影響を及ぼしているのではないか、と仮説をたて、研究を行っています。

bottom of page